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感染管理関連情報

■厚生労働省委託事業「歯科保健医療情報収集等事業」
 一般歯科診療時の院内感染対策に係る指針(抜粋)

平成26年3月31日
日本歯科医学会厚生労働省委託事業「歯科保健医療情報収集等事業」
一般歯科診療時の院内感染対策作業班

1. 医療従事者の防護関連

質問1

歯科診療時の手洗いは、消毒薬を含む洗剤を使用して行う方が、擦り込み式消毒薬を用いるよりも院内感染を防止することができますか?

回答

日常歯科臨床においては、常に唾液もしくは血液に触れる機会が多く、さらに歯肉粘膜は傷つきやすく出血しやすいことから、手指に目に見える汚れがなくとも唾液や血液が付着している可能性があります。また、歯科治療後にグローブを外す時は、表面に触れないように注意しないと、手指や周囲環境に唾液や血液を付着させる可能性があります。唾液・血液などのタンパクが付着した状態では、擦り込み式アルコール製剤の消毒効果は十分に発揮されません。
したがって院内感染防止の観点からは、診療前や唾液・血液が付着している可能性がある場合には消毒薬を含む洗剤と流水で手を洗うことが強く勧められます。

質問2

歯科診療時の手袋は、全ての症例で使用し、かつ患者毎に交換する方が院内感染を防止することができますか?また、歯科衛生士や助手も手袋をした方がよいでしょうか?

回答

一般的な歯科医療においては、基本的に血液、唾液および粘膜に接触する機会が多いため、院内感染防止の観点からは常に患者毎に両手とも新しい医療用グローブを装着し、使用後は直ちに外して手を洗い、微生物を他の患者や環境周囲に移さないように努めることが奨められます。一度患者に使用したグローブを装着したまま手洗いや消毒を行って次の患者の診療に移ることは行ってはなりません。
また、同時に歯科衛生士や助手も手袋を着用することによって、微生物伝播のリスクを明らかに減らすことができることから、歯科衛生士・助手の手袋着用も強く勧められます。

質問3

歯科診療後、直ちに手袋を外し手指衛生後に、新たな手袋を用いて環境整備を行う事は、歯科診療に使用した手袋の上から速乾性手指消毒薬等を用いて手指衛生を行い環境整備を行う事と比べて院内感染、職業感染・血液曝露を含めて有効ですか?

回答

歯科診療に手袋を使用することは強く勧められます。診療に用いた手袋は患者ごとに新しい手袋を使用して交叉感染を防ぐことが強く勧められます。診療に使用した手袋の上から速乾性手指消毒薬を使用し手指衛生を行う事は手袋上の微生物を完全に除去できません。また、手袋も破損しやすくなりますので環境整備などを行う事にも勧められません。患者ごとに新しい手袋を着用し、微生物が他の患者や環境に移るのを防ぐために使用後は手袋を速やかに取り外してただちに手洗いをして、新しい手袋を着用して環境整備などを行う事が勧められます。

質問4

すべての歯科診療において医療従事者がマスクや個人防護用具(メガネ、フェイスシールド等)を使用すると、使用しないよりも医療従事者の感染を防止することができますか?

回答

医療全般において処置の過程で目・鼻・口の粘膜に体液などによる汚染(血液やその他体液、分泌物の飛散)が予測される場合は、目・鼻・口の粘膜からの血液媒介ウイルス感染防御のため、マスク、ゴーグル、フェイスシールドの使用を標準予防策として推奨しています。また、個人の眼鏡やコンタクトレンズは十分な眼保護としては考慮されません。
歯科治療時は、患者の唾液や血液・歯や材料等の切削片が飛散するため、マスクや個人防護用具の使用が勧められます。

質問5

歯科診療時に着用する術衣は、毎日交換する方が1週間毎に交換するよりも院内感染を防止することができますか?また、観血処置時は、通常の白衣の上に特別な術衣をつける方がよいのでしょうか?

回答

一般の歯科治療においては、かなりの頻度で術衣が汚染される可能性があります。エアロゾルの飛散する切削処置や超音波スケーラーによる除石、歯面研磨はもちろんですが、検査やポケット測定でも術者の胸部まで汚染される可能性があります。血液中に含まれるB型肝炎ウイルスは、乾燥状態で1週間経過しても感染力を持つことが動物実験で報告されており、実際に衣服や環境表面に付着した血液からの感染が疑われた症例の報告もあります。
したがって、院内感染防止の観点からは、歯科診療時に着用する術衣は毎日交換し、特に血液付着の可能性が高い観血処置時は、通常の白衣の上に特別な術衣をつけて防護することが勧められます。

質問6

口内法エックス線撮影(デンタル撮影)の際に、撮影者が汚染防止用カバーを付けたフィルムを使用すると汚染防止用カバーを付けないものに比べ撮影者を含めたスタッフの感染リスクを下げるのに有効ですか?また、同様にデジタルシステムのイメージングプレートでも汚染防止用カバーはその感染リスクを下げるのに有効でしょうか?

回答

デンタル撮影用のフィルムやイメージングプレート(以下、IP)はパケットや保護袋に納められ、フィルムへの光の侵入や唾液や血液等の汚染からフィルムが守られています。しかし、パケットや保護袋に汚染があると病原微生物が、間接的に他の患者さんに感染する、交差感染の発生の可能性があります。さらに撮影者を含めたスタッフへの感染の可能性が高くなります。これらの交差感染を避けるためには、使用前に汚染防止用カバーをフィルムパケットや保護袋の上にさらに付けて使用し、また、撮影後直ちに汚染防止用カバーを外したうえで、パケットを外してフィルムを適切に写真処理することが勧められます。もし、フィルムパケットや保護袋が汚染された場合には他の質問の項目で示される消毒液で処理したうえで、適切に写真処理することが勧められます。なお、使用される汚染防止用カバーは紙よりもプラスチック製の方がより細菌汚染を防げます。

2. 器材などの滅菌・消毒関連

質問7

歯科診療に使用するアルコール綿は、毎日診療前にその日の分を作製する方が、アルコールを継ぎ足しして使用するよりも院内感染を防止することができますか?

回答

アルコール系消毒剤は、揮発性であるため、開放状態で放置すると時間の経過とともにその濃度が低下してしまいます。特に作り置きしたアルコール綿は、24時間以内に有効濃度を下回る可能性があります。さらに、アルコール綿を手で取り扱う場合は、有効濃度を下回った時点から収納容器内で細菌の増殖が始まってしまいます。
したがって、院内感染防止の観点からは、アルコール綿は作り置きせずに、毎日診療前にその日の分を作製することが勧められます。

質問8

使用したハンドピースは、患者ごとにオートクレーブ滅菌する方がアルコールなど消毒薬を用いた清拭よりも、院内感染防止に有効ですか?

回答

平成24年に日本歯科医師会会員を対象に実施されたアンケート調査によれば、使用したハンドピースを患者ごとに滅菌しているという回答は全体の3割にとどまっていました。エアタービンハンドピースは、回転停止時にタービンヘッド内に陰圧が生じ、口腔内の唾液、血液、切削片などを含む汚染物資が内部に吸い込まれるサックバック現象が問題とされ、最近ではサックバック防止構造が各メーカーのハンドピースに備えられています。
しかし、色素液を用いたサックバック現象の研究によれば、エアタービンハンドピースで色素の内部吸い込みが確認されており、患者に使用後、滅菌しないハンドピースを次の患者に使用すれば交差感染を引き起こす可能性があります。低速回転の歯面研磨用ハンドピースでも同様の問題が明らかにされていますので、使用したハンドピースは患者ごとに交換し、オートクレーブ滅菌することが強く勧められます。

質問9

歯科治療に使用されたバー、ファイル、超音波チップなどの器具を超音波洗浄ならびにオートクレーブ滅菌にかけると、超音波洗浄のみよりも院内感染を防止することができますか?

回答

器具に付着した細菌、ウイルス、タンパク質には、交差感染の危険性があります。超音波洗浄はこれらの除去に効果的ですが、滅菌することは出来ません。一方、オートクレーブは滅菌法として信頼できますが、付着物は除去されません。両者の特徴を考慮すると、超音波洗浄後にオートクレーブ滅菌を行うことが強く勧められます。
しかし、材質によってはオートクレーブ滅菌が出来ない器具もあります。また、歯科治療器具によりプリオン病が伝播する事実はいまだ示されていませんが、器具や症例によっては単回使用で廃棄する方が適切でしょう。

3. 診療室設備関連

質問10

歯科用ユニットを患者毎に消毒薬で清拭、またはラッピングすると、しない場合に比べて院内感染を防止するのに有効ですか?

回答

臨床的な接触面、特に洗浄が難しい表面(歯科用ユニットのスイッチなど)の細菌汚染を防止するために、ラッピングなどの表面バリアを使用し、患者毎に交換することが勧められます。また、表面バリアで覆われていない歯科用ユニットの臨床的な接触表面については、患者治療毎に消毒薬や滅菌剤で清拭することが院内感染防止に有効で、勧められます。

質問11

観血処置、歯・義歯の切削時に口腔外バキュームを常に使用すると、症例に応じて使用する場合と比べて感染のリスクの減少に有効ですか?

回答

歯科治療は回転切削器具を頻用するため、血液で汚染されたエアロゾルや微生物を含んだ切削粉塵が診療室に飛散しています。また、口腔外バキュームは、エアロゾルや切削粉塵の飛散濃度を低減させます。歯科治療時は、診療室内の汚染を減少させるために口腔外バキュームの常時使用を強く勧められます。

質問12

歯科用ユニット給水系に毎日消毒薬を使用すると、使用しないよりも院内感染を防止することができますか?

回答

歯科用ユニット給水系の細菌汚染の原因は、ユニットチューブ内面に生じたバイオフィルムですが、これを消毒液で完全に除去することは困難です。したがって消毒液を1回だけ使用してもすぐにユニットチューブ内に細菌が増殖してしまいます。この細菌の増殖を防止するためには、定期的な消毒薬の使用が必要という論文が多くあります。毎日の消毒薬の使用は、歯科用ユニット給水系の細菌数を低下したまま保つことができるので、毎日の使用は大変ですが、院内感染防止の観点からは行うことが勧められます。

4. 技工関連

質問13

アルジネート印象採得後、印象体を消毒薬で消毒すると流水下での水洗いよりも、院内および技工所の感染防止に有効ですか?

回答

ほとんどの歯科医療施設で、アルジネート印象採得後に流水下での水洗いを実施していることが、日本歯科医師会会員を対象にしたアンケート調査により明らかにされていますが、実は、この流水下での水洗いだけでは交差感染防止は不十分です。
アルジネート印象材はラバー系印象材よりも口腔内微生物が付着しやすく、短い水洗時間ではかえって汚染範囲を拡げてしまいます。アルジネート印象に付着した微生物は、印象から作られる石膏模型にも容易に伝播しますので、印象に石膏を注入する前に消毒することが勧められます。

質問14

技工物の製作過程で歯科医師と技工士が消毒に関する情報交換を行うことは、院内および技工所の感染防止に有効ですか?

回答

歯科医師と歯科技工士との間で技工物の消毒に関する情報交換はあまりなされておらず、技工所では歯科医師から受け取った印象や模型が消毒されていることを前提に技工作業を進めることがあり、交差感染の可能性があります。技工所から届けられる技工物は、しばしば汚染されているので、ルーチンの消毒が必要であり、保管方法にも注意を払わなければなりません。したがって、歯科医師と歯科技工士の相互で、消毒に関する情報交換を行うことが勧められます。

5. ワクチン関連

質問15

歯科医療従事者がB型肝炎ワクチンを接種することにより、B型肝炎の発症を予防することができますか?

回答

歯科医療においては、血液を介する治療行為が頻回に行われることから、B型肝炎に感染する機会が多いと言われています。とくに、B型肝炎ウイルスの抗原陽性患者に対して、観血処置を行う場合には十分な注意が必要です。一般的に、歯科医学教育における実習前に、B型肝炎ワクチンの接種と抗体価の確認が行われています。B型肝炎ワクチン接種により産生される抗体の中和活性が発症の予防につながりますので、抗体価の確認を行い、抗体価が確認できない場合には、ワクチン接種が必要となります。したがって、B型肝炎ウイルスに対する抗体を保有しない歯科医療従事者は、感染防御の観点から、B型肝炎ワクチン接種、ならびに抗体価の確認が勧められます。

6. 針刺関連

質問16

局所麻酔用注射針を片手でリキャップすると、両手でリキャップする場合よりも針刺し事故の防止に有効ですか?

回答

歯科臨床においては、しばしば局所麻酔用注射針のリキャップが行われます。リキャップを片手で行う方法(片手すくい法:one-hand/scoop technique)は、両手で行う方法(two-hand technique)に比べ、針刺しの頻度が低く、針刺し事故防止の観点から、リキャップは片手で行うことが勧められます。

7. 廃棄物関連

質問17

歯科診療で使用したメスや針などは使用後直ちにユニット内で耐貫通容器に捨てるほうが他の廃棄物(ガーゼや綿花)と一緒に感染性廃棄物として捨てるより院内感染防止(職業感染・血液曝露)に有効ですか?

回答

針刺し、切創などは使用後から廃棄までの間におこる事があります。院内感染防止(職業感染・血液曝露)のためには、使用後直ちにユニット内で耐貫性専用容器に廃棄する方法が勧められます。


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