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感染管理関連情報

インタビュー『タービンの「滅菌化」 コストに見合った対策のポイント】

早川琢郎(はやかわたくろう)氏(千葉県開業)

千葉県松戸市で開業している早川琢郎氏は、早くから自院でのタービンの滅菌化に取り組み、千葉県歯科医師会でも普及に努めてきた。滅菌化の意義や歯科診療所でも無理なく取り組める方法について早川氏に話を聞いた。



歯科は感染と隣り合わせ

──── 歯科医療機関での滅菌対策は、なぜ必要なのですか。

早川 歯科医療は日常的に唾液や血液に触れる環境の中で診療しているにもかかわらず、感染症のスクリーニングテストを実施せずに観血処置が行われており、感染と常に隣り合わせで診療しています。

患者自身がB型肝炎等の感染症の罹患を理解し、受診時に自己申告すれば、こちらも感染対策は行いやすいのです。問題は患者さん自身が検査を受けていないために、本人も知らないうちにウイルス性の肝炎やHIVに感染し、歯科医療機関に受診しているケースです。日ごろから十分な院内感染対策(スタンダード・プリコーション)を実施していなければ、歯科医師が感染するだけでなく、スタッフ、ほかの患者さんに感染させてしまう可能性があります。

そして最近では、スタッフが勤務先を選ぶ際に、感染対策を重視している人も多いようです。千葉県に寄せられる歯科医療への苦情の中には滅菌関係も幾つかあります。苦情が1件あるということは実際には25人程度、同じ考えを持っている人がいるというデータもあります。

ただ、感染対策と言っても一般歯科治療においては無害な雑菌まで気にする必要はなく、B型およびC型肝炎、HIVなどへの対策を講じれば大概は問題ないと言えるのではないでしょうか。



正しい知識とノウハウ必要

──── 日本歯科医学会の調査や読売の報道にもあった厚生労働科学研究の結果をみると、ハンドピースの滅菌は3割強の現状です。

早川 千葉県歯科医師会が以前に行った会員へのアンケートではタービンの滅菌は5割以上実施しており、消毒で対応している先生方の中で滅菌に興味を持っているのは8割以上と多くの歯科医師が滅菌に対する意識を高く持っています。しかし障害になっているのは(1)コストがかかる(2)煩雑、面倒な上に人件費がかかる(3)感染対策が十分に保険点数に反映されていない(4)器具の劣化といった理由が挙げられます。私自身は、正しい知識とノウハウを知れば、それほどハードルは高くないと考えています。

──── 実際に滅菌はどのようにされているのですか。

早川 当院は「タービンの滅菌化」を始めた時、ユニットが3台でタービンは2本ずつ使用していたので、滅菌に取り組むまでの保有タービン数は予備2本を加えて8本でした。来院患者数は午前11〜12人、午後13〜14人で、1人の患者に対し、タービン1本で治療を行いました。そのため午前、午後おのおの12〜14本分のタービンが必要と考え、不足分の6本とオートルーブ(自動洗浄注油器)も購入しました。タービンへの注油をスタッフが手動で行うと、きちんとできる人もいますが、不十分な場合もあります。回数については午前1回、午後1回ほど注油するケースだと、オイル切れになったままタービンを使用している可能性もあり、タービンの早期の故障の原因にもなります。

当院は一人一人の患者さんごとにオートルーブ使用後に滅菌することによってカートリッジは導入前に比べて長持ちしました。

「タービンの滅菌化」は使用後のタービンをアルコールを染み込ませた布で清拭し、オートルーブでの注油後、滅菌バッグ(ロール式のものをヒートシーラーで封入)に入れ、小型高圧蒸気滅菌器で約17分間滅菌し、自然乾燥させるだけです。滅菌バッグにはシール付きのセルフパウチタイプもありますが、ロール式の方が経済的なのでロール式を採用しています。

滅菌後にそのまま中で乾燥させると高温のため、タービンが故障する恐れがあります。滅菌バッグに入れてあるので自然乾燥でも問題はなく、この方法だとタービンを痛めず、時間的にも有効ですね。



患者1人当たり39円のコスト

──── 滅菌システムの導入にはコストがかかると言われますが。

早川 当院の場合ですと、不足分のタービン6本、オートルーブ、プチクレーブの合計金額104万7600円です。これらの器材を5年ローンで計算すると月々の負担は1万9066円になります。1カ月の診療日を20日とすると1日当たり953円で、1日の患者数を25人とすれば一人当たり38円、滅菌バッグは、タービンの長さ分を使用すると約1円の計39円になります。再診料450円の1割以内でタービンの滅菌化が可能になります。この計算は当院で購入した製品を使用した場合で、他のメーカーの製品で、この計算が当てはまるかどうかは別ですが、目安にしていただければ良いと思います。

購入するタービンについては、メーカーによって異なりますが、スペアなど2本目以降、1本目より安価で購入できるものもあります。これらも利用していけばさらに効率的に滅菌に取り組むことができます。

さらに高額な機器とは異なり、日常的に使用するペーパータオルなどは、商品によって価格帯もバラツキがあります。こうした部分は価格の低いものを購入することでコストカットが実現します。医療はコストダウンできる部分とできないところがあるので、そこを見極めながら対応すると院内感染対策もこれまで以上に取り組みやすくなると思います。



患者と診療所を守るために実施

──── 今後、滅菌に取り組みたい人はどうすれば良いのですか。

早川 正しい知識とノウハウを知ることが大事です。ただ最初から完ぺきにしようとするとどうしてもハードルが高くなりがちなので、最初はできるところから、例えば現在保有しているタービンから滅菌し、徐々に買い足していく方法もあります。

歯科医療機関における滅菌は、過渡期にあり、数年後にはオートクレーブによる滅菌はかなり進むと考えています。現在の歯科診療所は、滅菌器材のスペースを考慮せず設計されていますが、将来的にはハイスペックな滅菌器材のスペースを最初に考え、それからほかのスペースを設計していく考え方が普及していくのではないのでしょうか。私自身、院内感染対策は患者さんや診療所を守るためと信じ、実施しています。

『日本歯科新聞』2014年6月24日付、第4面-第5面。


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